世界有数の金取引量を誇るスタンダードバンクにおいて、東京支店長を務める池水雄一氏が
毎週月曜日に配信!貴金属取引の最前線で活躍してきた伝説のディーラーがレポートをお届けします。
Gold& Silver Weekly Report 2012-05-14
金―Gold

- 始値 1643.50 (05/07)
- 高値 1644.00 (05/07)
- 安値 1573.00 (05/11)
- 終値 1580.00 (05/11)
先週は久しぶりに1600-1700ドルレンジが割れた一週間でした。大方の予想通り動きは下方向でした。先週末のフランス大統領選挙によるサルコジ大統領の敗北、ギリシャでも総選挙の結果与党の敗北。双方とも予想通りということで、マーケットは動かないかと思っていましたが、月曜日のメーデーを終えて火曜日から、遅い反応が出始めたようです。ユーロが売られ、それに追随してゴールドも売られました。1625ドルをbreakすると1615ドルまで下がり、そこを破ると売りが断続的に続き一時1596ドルまで下げました。その後1606ドルまで戻してニューヨークは終わりました。やはり欧州情勢がマーケットの焦点として浮上してきました。不安へのリアクションはドル買い、その他を売り。貴金属も売られる対象となりました。ずっと続いてきた1600-1700 (1610-1680)ドルのレンジを破ったことで、リスクオフの売りに拍車がついたことは否めません。
- 先週の雇用統計が金融緩和を示唆するものであったこと
- インドがゴールドへの税金を撤回したこと
- 中国の第一四半期の需要(香港から中国への輸出)が135トンと前年比6倍にも伸びていること
- 欧州不安(ゴールドには本来買い材料になるべき!)
こういった強気材料を吹っ飛ばして、欧州不安からの「リスクオフ」の売りで下がったということですね。皮肉に聞こえるかもしれませんが、ゴールドが上がるためには「もっと悪い」ニュースで本来のsafe havenとしての役割を果たすような状況にならなければなりませんね。
投資家のロングポジション自体はそもそも大きくありません。とすればここで売ってきているのは新たな投資化のショート売りだと考えることができます。これは逆の動き(買い戻し)が入ったとき、大きく跳ねる可能性があるということだと思います。しかしとりあえず、ギリシャの状況は、「総選挙の結果を受けて第1党となった民主主義党(ND)が7日に連立樹立を断念。第2党の急進左派連合(SYRIZA)も失敗、現在交渉権を握っている第3党のギリシャ社会主義運動(PASOK)が中心となって連立政権が出来る可能性は非常に小さく、再選挙になればどう転ぶかわからないという恐怖」(Bloombergニュースより)というものであり、それによりユーロが売られる展開が続く以上、ゴールドもともに売られやすい状況にはあります。ギリシャのユーロ離脱の恐れも現実感をもって考えられるようになりました。
以上の欧州不安に加えて、金曜日にはJP Morganの1600億円もの巨額の損失が発表され、これが商品市場にも売り圧力を加えました。また同じくこの日に発表された中国の経済指標、工業生産は2009年以来の低い伸び(9.3%)、小売売上高の伸び(14.1%)は市場予想(15.1%)届かず、インフレ率も政府目標を下回りました。(消費者物価指数3.4%上昇、政府年間目標4%)これもまたリスクオフの動きに拍車をかけました。アジア午後からからロンドン時間にかけて売りが加速し一時1573ドルまで下がりました。その後のニューヨークは1583ドルまで戻して一週間を終えました。一週間の下げとしては今年最大となりました。
ただこれまでも何度もあったリスクオフですが、ずっと続いた例はありません。それどころか比較的短い期間でリスクオンになって反発ということの方が多かった気がします。上記にあげた点からも、1600ドルを割れたレベルのゴールドはvalue investmentだと思います。
「JP Morgan 20億ドル(1600億円)の損失が発覚」
Bloombergの報道によるとJP Morgan のCIO(Chief Investment Office)という部門で取ったポジションで約20億ドル(1600億円)もの損失が出ていることが発表されました。いったいどういうポジションなのかは詳しくはわかりませんが、この部門はCEOの下での投機的なポジションを取る部署のようです。元幹部の言葉として「CIOの持ち高の一部は非常に大きく膨らんでいるため、損失や金融市場の混乱を回避する形で解消することはおそらくできない」と言ってるようです。いったいどういうポジションを持っているのか。非常に興味深いですね。FSAと今後の対応を協議中のようです。
銀―Silver

- 始値 30.30 (05/07)
- 高値 30.30 (0509)
- 安値 28.55 (05/11)
- 終値 28. 91 (05/11)
シルバーも大きく下げました。ながらくサポートになっていた30ドルを割り込み、28ドル半ばまで下げました。ゴールド以上にリスクオフの影響が大きい気がします。需要家はどこまで下がるか底値を見極めようとしているようです。
今週のトピックスとしては、銅やゴールドを上場しているSHFE(上海期貨交易所:Shanghai Futures Exchange) で、シルバーの先物取引が始まりました。我々も興味を持ってみていたのですが、始値は予想よりもだいぶ安く、大きな買いを期待していた向きには少々 がっかりな始まりでした。まあ、いつものパターンでみんなロングして待ち構えていたのだと思いますが。ただボリュームは結構な量が出来ていたので、もしこれが初日のご祝儀だけでないなら今後が楽しみなものになりそうです。
CFTC Commitments of Traders Report as of 08-05-2012
Comex Gold 投資家ロングポジションは大きく減少。2009年4月以来の500トン割れ。価格もこの日に1600ドルを割れました。さすがにこれ以上ロングが減るとはちょっと考えづらいと思うのですが。

Bruce今週の一言
・先週はまたいろいろ美味しいものをいただきました。なんか全部TBRCがらみなんですが。(笑)まずは富士五湖ウルトラマラソン応援団で、浜松町の「新亜飯店」で小籠包。ここのは大ぶりで美味しいです。でもこの日気づいたのは、ここ、チャーハンもいけるってこと。チャーハンの美味しいお店は貴重です。ちなみに、この集いの前にゼロ次会として、すぐ近くの大門交差点にある「秋田屋」で立ち飲みでした。ここの煮込みもまた美味しいです。夕方5時には正しいサラリーマンでいつも満員です。(笑)

・ ホルモン激戦区神泉の「三百屋」にもいきました。写真はタンスジ。ホルモンもいろいろな部位があり、TBRCのホルモンヌたちはみんなおいしいおいしいと食べておりました。僕は関西出身で焼肉のことを「ホルモン焼き」というくらいホルモンはメジャーで好きなのですが、若い女性たちがホルモンを好きだというのはけっこう意外です。
・金曜日昼は海外からのビジター。昼からLawrysのローストビーフを食べてしまいました。最近はすっかりwell doneが好きになってしまいました。
・5/1にランを再開してから基本的に毎朝ランをしていますが、まだまだリハビリ状態。やっぱり足首がだいぶ弱いのを感じます。ま、焦らず行きます。
・ 土曜日にはTBRCの井の頭公園ラン。自分で10km走ってからみんなでゆっくり10km。その後トーホーベーカリーでパンを買ってみんなで公園朝食。
・ 日曜日は足のケアのためランは休みにして、早朝ライド。多摩川サイクリングロード(多摩サイ)へ。朝6時前に家を出て、多摩サイに入ってまずは下流の二子玉あたりまで行き、そこからまた上流へ引き返し、国立府中の高速下まで。時を同じくして上流、下流でTBRCのメンバーが別々に5人ほどバイクライド、そしてすくなくとも一人はランでいたようです。9時すぎに家に帰って61kmのライドでした。バイクも楽しい!
・ 今週は月曜日からロンドンです。プラチナウィークというやつです。来週報告しましょう。
よい一週間を!
Bruce池水
2012-05-13記
ゴールドディーリングのすべて 2(週刊 ) : http://www.ovalnext.co.jp/ikemizu
Twitter : BruceIkeGold (Gold) / BruceIkemizu (Run/Gourmet)
Bruce Report(毎日): http://www.ovalnext.co.jp/bruce/
池水雄一(いけみず ゆういち)氏プロフィール
スタンダードバンク東京支店長
1992年より三井物産株式会社で貴金属チームリーダーを努める。2006年よりスタンダードバンク東京支店副支店長、2009年に同東京支店で支店長に就任。
一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界各国のプリオン(貴金属)ディーラーでブルース(池水氏のディーラー名)の名を知らない人はいない。
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